第4位:ワンコイン詐欺事件

ステージの照明を浴びた女性が、「ビットコインを超える新しい通貨」を高らかに宣言します。観客は歓声を上げ、世界各地で会員が次々と増えていきました。ワンコインは2014年に始まった暗号資産事業で、購入者には投資用のコインではなく、オンライン教材のパッケージが販売されました。その教材に付属する権利を使ってワンコインを得られると説明され、参加者が新たな会員を勧誘すれば報酬も受け取れる仕組みでした。

しかし、通常の暗号資産を支える公開・分散型のブロックチェーンは存在せず、取引記録や価格は運営側が管理していました。画面上で資産が増えているように見えても、自由に換金できる市場はほとんどなく、表示された価値を現実の現金へ変えることは困難でした。それでも豪華なイベントや成功者の演出が信用を生み、事業は世界各地へ拡大します。

創業者ルジャ・イグナトワは2017年に公の場から姿を消し、その後も行方が分からないままです。巧妙な演出は、疑念より期待を先に膨らませました。共同創業者らには有罪判決が下され、被害額は数十億ドル規模に達したとされています。未来の通貨を装った巨大事業の中心にあったのは、革新的な技術ではなく、人が人を信じて勧誘する仕組みだったのです。
