第6位:ノースウッズ作戦 — 自国を襲わせたように見せる“偽旗作戦”計画
1962年3月、アメリカ国防総省に、信じがたい極秘文書が提出されました。そこに書かれていたのは、自国側で事件を作り出し、それをキューバの仕業に見せかけ、軍事介入の口実にするという、あまりにも危険な構想でした。その名が、ノースウッズ作戦です。

この提案をまとめたのは、米軍制服組の最高機関である統合参謀本部でした。文書の目的は明確です。アメリカを「キューバに攻撃された被害者」の立場に置き、世論と国際社会をキューバ侵攻へ傾けること。

計画案の中には、グアンタナモ湾の米軍基地周辺で偽の攻撃や破壊工作を起こす案がありました。米艦船を爆破し、キューバの攻撃に見せかける。米軍基地への襲撃を演出する。亡命キューバ人の船を沈める、あるいは沈めたように見せる。こうした出来事を積み重ねることで、「キューバは危険で無謀な国家だ」という印象を作り出そうとしていたのです。

中でも異様なのが、民間旅客機をめぐる偽装案です。乗客を乗せた本物の機体を途中で別の飛行場へ向かわせ、外見を似せた無人機にすり替える。その無人機から「キューバ軍機に攻撃されている」という救難信号を送らせたあと、遠隔操作で破壊する。世界には、キューバが民間人を乗せた旅客機を撃墜したように見せる――。現実に実行されたわけではないとはいえ、ここまで具体的な偽装シナリオが国家機関の内部で検討されていたこと自体が異常です。

ノースウッズ作戦の恐ろしさは、民主主義国家の内部で、世論を戦争へ向けるために“被害”そのものを演出する発想が正式文書として検討されていたことにあります。国家が「必要な戦争」を作ろうとしたとき、真実すら素材にされてしまう。ノースウッズ作戦は、極秘に進められた狂気の計画の中でも、最も背筋が冷える“未遂の国家シナリオ”です。
