国家が時に推し進めてきた「常識を超えるプロジェクト」の数々―。あなたの知らない“世界の裏側”は、果たしてどんな世界なのか?一緒に見ていきましょう。
第10位:オウム真理教の“11月戦争”計画
地下鉄サリン事件で日本中に恐怖を刻んだオウム真理教。しかし、その異常性は、あの一度の化学テロだけに収まりませんでした。後に明らかになった資料や報道では、教団が1995年11月をひとつの転換点と見なし、国家そのものを揺さぶるような武装構想を抱いていたとされています。それが、いわゆる「11月戦争」計画です。

恐ろしいのは、これが単なる妄想や過激なスローガンではなかったことです。教団は宗教団体という外見の裏側で、化学物質、銃器、航空機、拠点施設などを視野に入れながら、現実の武装化を進めていました。オウム真理教はただの「宗教団体」ではなく、人を殺傷する技術と組織力を持っていた恐ろしい集団だったのです。

背景にあったのは、世紀末思想と、教祖を中心にした極端な救済思想でした。教団は、世界が破滅へ向かうという物語を信者に信じ込ませ、その混乱の先に自分たちの理想国家を築くという、歪んだ未来像を描いていました。そこでは、暴力さえも“救済”や“正義”の名で正当化されていきます。

人を救うはずの宗教が、化学兵器や武装計画と結びついたとき、どれほど危険なものになるのか。その最悪の実例が、この「11月戦争」計画でした。
結局、計画は実行には至りませんでした。地下鉄サリン事件後の大規模捜査と幹部らの逮捕によって、教団の武装化は急速に崩されていきます。

もし摘発が遅れ、計画がさらに進んでいれば、日本の戦後史はまったく違うものになっていたかもしれません。オウム真理教の“11月戦争”計画は、狂信が技術と組織力を手にしたとき、現実の国家すら脅かし得ることを示した、日本史上でも極めて狂気的な計画のひとつです。
