第4位:1990年代 日本の『こっくりさん』パニック

紙に鳥居や五十音を書き、十円玉に数人で指を重ねます。「こっくりさん、こっくりさん」と呼びかけると、誰も動かしていないはずの硬貨が、ゆっくり文字の上を滑り始めます。こっくりさんは明治期から知られる占い遊びですが、1970年代以降に児童・生徒の間で大きく流行し、その勢いは1990年代初頭まで続きました。

多くは学校や家庭で行う集団遊びでしたが、遊んだ後に強い不安へ陥り、眠れなくなる、集中できなくなる、体が動かしにくいと訴えるなど、心身の症状が集団で現れた事例も医学的に報告されています。奇妙なのは、参加者の多くが本当に「自分は動かしていない」と感じることです。硬貨の動きは、考えや期待に反応して本人が気づかないほど小さく筋肉を動かす「観念運動」で説明できます。

しかも複数人が触れているため、動かした責任が誰にも見えず、出た答えだけが霊の意思のように残ります。そこへ「途中で指を離すと祟られる」といった噂や友人の恐怖が重なると、動悸や震え、不安まで周囲へ伝わっていきます。恐怖は目に見えないまま増幅します。何かが憑いた証拠ではなくても、人の無意識と集団の暗示だけで、教室は十分に異様な空間へ変わってしまうのです。この『こっくりさん』パニックは全国で問題になったと言います。
